明日こそ、定時

残業は悪と心に決めてる社畜SEが、定時で帰れた時の暇つぶしに読める記事を綴っています。雑記。好きなこといろいろと…

映画「ジョーカー」を見てジョーカーが悪とは思えない自分がいる

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ジョーカー


映画ジョーカーを見てきましたよ。どうも佐伯(@saeki_teizidash)です。

もうね。
余韻がすごい。

本映画はバットマンシリーズでお馴染みの最強の悪「ジョーカー」が、「ジョーカー」となる前物語となるのですがその内容がかなり感情移入させられる作品となっていました。

大道芸人として暮らしていた孤独な男アーサー・フレックが、ことごとくひどい人生を歩んだ結果に最強の悪である「ジョーカー」となるのですが、その道に歩むきっかけとなったのが「証券マン3人地下鉄殺し事件」でしょう。

大道芸人の楽屋で嫌がらせがあった上、事務所を解雇されてしまい散々な目にあったジョーカー。
そんな嫌な出来事を思いながら地下鉄に乗っている際に、証券マン3人が女の人に絡んでるのを見てしまいます。
ジョーカーは何も面白くないのに笑ってしまう病気を持っており、その女性に絡んでる状態を見たジョーカーは笑いが止まらなくなります。
3人の証券マンはそのことを不快に思ってジョーカーのことをボコボコにするのですが、そのボコボコにされているさなかジョーカーは手元にあった銃で3人の証券マンをぶっ殺してしまいます。

このシーンを見たほとんどの方は思ったと思います。
「証券マン3人が殺されたのは当然の報いだろ。」と。
すべからく、ほとんどの方が思ったのはジョーカーの行為を正当化とする考えだったのかなと。


「3人の証券マン殺し」をしてしまった「ジョーカー」は次々にいろんな殺人事件を起こしていくのですが、その中でも印象に残ったのは「大道芸人時代の同僚殺し事件」ですね。

「ジョーカー」のテレビ出演当日に、自宅にきた大道芸人時代の同僚二人。
同僚の1人は大道芸人時代に「ジョーカー」に色々嫌味を言い、最終的に「ジョーカー」に銃を渡し事務所解雇の原因を作った人でした。
当日の嫌な思い出を振り返り、「ジョーカー」はその嫌な同僚をハサミで斬殺してしまいます。

ここまでは至って道理の通る殺人なので、なるほどなとすんなり理解できていたのですが、問題はもう1人の残された同僚の1人です。

もう一人の同僚は大道芸人時代から「ジョーカ」を気遣い優しくしてくれていた同僚です。
ここで「ジョーカー」がこの同僚まで殺したら、「ジョーカー」は単なる殺人鬼に成り下がってしまうけどどうなるんだろう。と映画を見ながらかなりドキドキしたことを思い出します。

結果としてもう一人の同僚を殺すことはせずそのまま逃がしてあげるのですが、このシーンだけでもかなり感情移入させられる場面だったのかなと。
「ジョーカー」は決して頭のおかしいただの殺人鬼に成り下がったわけではなく、「ジョーカー」の中で殺人は自分に対して害を成す存在を排除するために行う行為であり、そのため感情移入がしやすく、かつ「ジョーカ」の人間味を感じさせられる映画となっているのではないでしょうか。


殺人は世界中どの国でも犯罪扱いされている行為であり、かつ人間倫理的にも許せる行為ではありません。
しかし、自分が「ジョーカー」と同じ境遇になったとしたら同じ道を歩んでいるのではないか?別の解決策があるのか?などと考えさせられたりもします。
そして、本映画のラストシーンでは「ジョーカー」を貧困層のダークヒーローとして称えられる場面があるですが、そのシーンについては何の不信感もなく自分もその称えている一人になっていることを気づかされます。

果たしてジョーカーは生粋の悪なのか?正義とはなんなのか?逆に正義が悪なのではないか?
今一度、人間の倫理観というものを考えるきっかけになるのではないでしょうか。

かなりグロテスクな描写があるので万人受けは厳しいと思いますが、バットマン作品が好きな方はもちろん、人生とは?正義とは?などと今一度振り返りたい方などにすごくおススメな映画です。
是非見てもらいたい映画ですね。

最後に、本映画の様々な場面で流れるフランク・シナトラの「That's Life」を貼っておきます。
ジョーカーの酷い人生も、映画を見ている自分自身の酷い人生も幸せな人生も「それが人生」であることを味わせてくれる曲です。




おしまい。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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